木製パネルの木口(パネルの厚み部分、パネルの側面)に貼る木口化粧材の貼り方を解説しています。
木口テープの貼り方動画解説付き
アイカフレキエッジバンド(ダップ樹脂粘着テープ)(強化プリント粘着テープ)やアイカ純木突板粘着テープ、ファンシーロール、天然木突板テープ等の裏面の剥離紙を剥がすと粘着剤が付いている手貼り用木口材の貼り方です。
木口テープの貼り方
- 木口テープを貼る面に速乾接着剤をハケブラシで薄く塗ります。
- 接着剤塗布後5~10分乾燥させテープ裏面の剥離紙を剥がしながら貼ります。
- 貼り合わせ後ゴムローラーで押さえたり、なければ布等で圧着します。
- 木口テープのはみ出た部分はテープカッターで取り除きます。
- 最後にペーパーで軽く仕上げると滑らかで手触りがよくなります。
この記事を書いている私は、国家資格技能士で木製建具製作、造り付け家具製作、メラミン化粧板加工歴が39年ほど。
現在、木工所(弘形工芸)を経営しています。メラミン化粧板を使用したオーダー家具(特注サイズのテーブル天板)を日々作り続けています。
というわけで今回は「木口テープの貼り方」について解説します。
DIY 剥がれない木口テープの貼り方【白や木目やシナテープ】熟練家具職人が解説
テープとは言いますがビニールテープのように薄い物ではありません。
アイカフレキ木口テープサイズ
- 厚みは0.25mm~0.3mm
- 規格の長さは50m巻き 白などのHWSは100m巻き
- 規格幅は20mm 22mm 26mm 30mm 40mm 450mm
長物ですから継ぎ目が50m巻きで一回以上、100m巻きで二回以上入る場合があります。
通販では手頃な長さにカット販売している木口テープもあるようです。
よく使う15mmや18mmも出回っています。
幅10mm~450㎜までの1mm単位で特注サイズ依頼もできます。
テープカッターでトリミングする場合は、貼るパネルの厚みよりも1mm~3mm位広い幅サイズが貼りやすく、テープカッターを使ったトリミング作業もスムーズにできます。
1.木口テープを貼る面に速乾接着剤をハケブラシで薄く塗ります。
今回の木口テープの貼り方は、ラワンランバーコア合板、シナランバーコア合板、ポリランバー、低圧メラミン化粧板仕上げのパネル、各種合板、パーティクルボード、MDF、フラッシュパネルに対応できる貼り方です。
木口テープの裏面には粘着テープ(両面テープ)が付いていますが、粘着テープだけで貼ると初めは付きますが、温度や湿度、パネルの収縮等により部分的に浮いたり、剥離してきます。
木口テープを貼る面に接着剤を塗って貼る事で長年使い続けることができます。
なお、木口テープを貼る切断面は木工機械できれいにカットした面に使用してください。
ノコギリを使って手作業で切断した荒い断面に木口テープを貼る事はできません。
接着剤を塗る前に、接着を阻害するほこりや油分、汚れを取り除いてください。
ほこりや汚れの除去に濡れ布巾等では絶対に拭き取らないでください。
水気は厳禁です。
貼る面側に含水があると剥離の原因になります。
滑らかで平らな面が接着強度を高めますから窪み、芯抜け等の空洞部分はパテ充填硬化後、平らなサンドペーパーで平らにして下さい。
木口テープを貼る面が整ったら、化粧板専用接着剤のゴム系溶剤形接着剤(速乾接着剤)をハケブラシで薄くのばして塗ります。
ハケはペンキを塗るような刷毛では粘度のある速乾接着剤は塗れません。
歯ブラシを大きくしたようなハケブラシが最適です。(下記に画像有り)
気温や室温が高くなっても剥がれないためには耐熱仕様がおすすめです。
価格:1,400円 |
粘着剤付き木口テープ貼り作業に速乾接着剤を併用する事(プライマー処理)は化粧板を扱うオーダー家具業界では常識です。
新築建物の現場監督の中には造り付け家具製作の打ち合わせ時に、手貼りの木口テープを使用する場合は基材には適度な乾燥材を使用して速乾接着剤を併用するように念を押される事があるほどの重要な作業です。
建築業者の現場管理者は完成後も長年に渡りメンテナンスで点検しますから木口テープの剥離現象をよく理解しています。
また、天然木の木口テープ、ファンシーロール粘着テープ付きも同じ要領で貼る事ができます。
天然木木口テープに接着材を塗らないで貼って塗装すると、すぐに剥離する場合があります。
竹の柄のハケブラシ
両面テープ付き木口テープを貼る側に塗る耐熱仕様の速乾接着剤
アイカ 耐熱ハケ用RQ-V1 500g|塗料・補修用品 接着剤 ゴム系・ビニール 価格:870円 |
コニシ 耐熱ハケ塗りHG 1.5k コニシボンド ボンド ゴム系接着剤 ゴムのり 刷毛塗り ハケ塗り 専用刷毛付き(1本) 価格:1,500円 |
チューブ入りの速乾接着剤は、粘度が硬くて薄く滑らかに塗りのばすことができません。
木口テープを美しく貼って仕上げるためにはハケ塗用缶入り速乾接着剤が適しています。
塗るコツは薄くぬることです。
速乾薄め液がある場合は薄めて塗ってもいいでしょう。
塗りムラがあると木口テープの表面仕上がりに影響が出ます。
2.接着剤塗布後5~10分乾燥させテープ裏面の剥離紙を剥がしながら貼ります。
接着剤塗布後5~10分乾燥させて指で触っても接着剤が手に付かなくなったら貼り合わせ適時です。
接着剤塗布後長く放置しても大丈夫です。
木口テープの裏面の剥離紙を剥がしながら貼ります。
3.貼り合わせ後ゴムローラーで押さえたり、なければ布等で圧着します。
貼り合わせ後、ゴムローラーで押さえます。
ムラなく、しっかり圧着が大切です。
ゴムローラーがなければ布等で滑らせながら強く押さえて圧着します。
4.木口テープのはみ出た部分はテープカッターで取り除きます。
木口テープのはみ出た部分はテープカッターで取り除き、長さ方向にはみ出したテープもテープカッターで切る事もできますが、切り終わりのテープの角が欠ける事がありますからきれいに切るにはカッターナイフがいいでしょう。
テープカッターは【かどっ子面取り型 0.3mm又は角型】
【スターエム STAR-M】スターエム 4953-M03 かどっ子 面取型 0.3mm幅 STAR-M 価格:2,473円 |
【スターエム STAR-M】スターエム 4953-KR かどっ子 角型 改良型 STAR-M 価格:2,390円 |
かどっ子面取り型 0.3mmで取るとパネルと木口テープの境目ギリギリに面が取れますからペーパーで仕上げすぎると下地が露出しますから注意が必要です。
角型は手触りで感じる程度の出っ張った状態に仕上がりますからペーパーで出っ張りを落とす必要があります。
角型は仕上げに時間がかかりますから、枚数が多かったり、貼る辺が多い場合は面取り型の方が効率的です。
私は面取り型0.3mmの本体の滑らす部分に養生テープ(画像の黄色いテープ)を貼って0.3mmを0.2mm程度にかさ上げして面取り加工後、サンドペーパーで数回研磨しても内部構造材が露出しない程度に調整しています。
必要に応じて重ね貼りして面取り量を調整しています。
仕上がりにこだわる方はお試しください。
テープカッターが無ければカッターナイフで切り落としてもいいですが、木口テープの幅サイズをパネル厚みと同じ、または少しだけ広いサイズを購入してサンドペーパーで削り落してもいいでしょう。
注意ポイント
シナテープやファンシーロール等の突板テープは天然木を薄くスライスしていますから樹脂用テープカッターではトリミングできません。
突板テープ用の面取りカッターもありますが、木目の流れに逆らってカッターを滑らすと刃先が食い込んでテープが逆目欠損しますから滑らす方向に注意が必要です。
5.最後にペーパーで軽く仕上げると滑らかで手触りがよくなります。
価格:1,232円 |
最後にペーパー(番手 P220以上の細かい目)で軽く仕上げると滑らかで手触りがよくなります。
ペーパー研磨作業は削り過ぎると下地材が露出して見苦しくなりますから削り過ぎに注意してください。
表面に付着した接着剤は速乾接着剤ふき取り液があるときれいに取り除くことができます。
価格:1,276円 |
また、開封後長期保管した接着剤は粘りがあって塗りにくいですから速乾接着剤薄め用シンナーで薄めると塗りやすくなります。
木口テープには粘着剤が付いていますから速乾接着剤の粘度が薄かったり、塗った後長時間放置して表面が乾きすぎても大丈夫です。
下の動画は、ラワンランバーコア合板にアイカHWSカラーシステムフレキ粘着剤付き木口化粧材を貼り付ける作業風景です。
アイカゴム系速乾接着剤 RQ-V1(耐熱)
アイカゴム系速乾接着剤専用ふき取りシンナー RT-84
アイカゴム系速乾接着剤専用薄めシンナー RT-91
http://www.aica.co.jp/products/catalog/n-veneer/specialty_adhesive/index_h5.html#8
アイカ工業のゴム系速乾接着剤RQ-V1は、木口テープ貼り付け下地処理以外に化粧合板やメラミン化粧板等の木質系素材の接着に使用できます。
シナテープ等の天然銘木テープのファンシーロール
関連参考情報
木口テープでは表面が強度不足と思われる方は高耐摩耗性能が特長の薄物木口化粧材のアイカメラエッジがあります。
ただし、メラエッジはメラミン化粧板ですからとても硬くてテープカッターでのトリミングはできません。
専用電動工具が必要です。